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低血糖はなぜ起こるのか。その原因と症状について解説します

 

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■低血糖とは

 低血糖とは、文字通り「低い血糖値」を意味します。低血糖は「糖尿病とは逆の状態であるからいいのではないか」と勘違いしている人がいますが、そんなことはなく最悪は昏睡に至ることもあります。私たちの体は、血糖値を70~140mg/dLに維持するようにできています。この血糖値維持のための作用を超えて血糖値が下がりすぎたためにいくつかの諸症状が出てくることがありますが、これを低血糖症と呼んでいます。

 低血糖は、血糖降下薬やインスリン製剤による薬物療法の反応として生じることが多いです。

■低血糖時の症状と危険性

 私たちの体は、血糖値が下がりすぎるのを防ぐために、血糖値が下がればインスリンの分泌が減り、血糖値を上げるためのホルモンが分泌されることで、血糖値が維持されています。しかし、この作用が正しく機能しないときには、血糖が下がりすぎてしまう場合があります。

 血糖値が急激に下がると(血糖値が70mg/dL未満程度の状態)これに対する交感神経からの反応として、次のような症状が現れます。

・発汗
・頻脈
・動悸
・手足の震え
・不安感
・空腹感

 この段階であれば、血糖値をあげるためにブドウ糖などを摂取することで、症状は快方に向かいます。しかし、この段階でも低血糖と気づかず、さらに血糖値が低下してしまった場合(血糖値が50mg/dLを下回るような場合)には、さらに中枢神経からの反応として、次のような症状があらわれます。

・頭痛
・目がかすむ
・集中力の低下
・眠気
・脱力感(疲労感)
・ろれつが回らなくなる
・ものが二重に見える

 この段階では、血糖値が下がったことにより、糖をそのエネルギー源としている脳が正常に活動できなくなりつつあります。

 低血糖がさらに進むと(30mg/dL以下)、意識障害さらには昏睡状態(低血糖性昏睡)に至ることがあります。低血糖性昏睡は、このまま意識が回復せずに死に至るケースもありますから、大変危険です。

低血糖の原因は糖尿病治療

 糖尿病の薬物療法と低血糖は背中合わせです。具体的には、インスリン製剤や経口血糖降下薬の用量と食事療法および運動療法のバランスが悪いときに、低血糖が生じます。例えば糖質を制限した食事を摂りながら、今まで通りの薬剤では血糖値低下作用が強くなり過ぎてしまいます。

 その他にも薬の量を間違えた、薬を飲む時間を間違えたなど薬単独の理由も考えられますので、糖尿病の薬物療法は、高血糖を防止するためだけではなく、低血糖を回避するためにも、医師の指示通りに服薬することが非常に重要です。

■低血糖を感じたときは

 低血糖の症状を感じたら速やかに糖分(ブドウ糖)の補給を行うことが最善です。ハリウッド映画の「ゴッドファーザー」の中で、主人公のアルパチーノがバチカンの教会の中で低血糖症状が生じて、急きょ飴やジュースを口にしたシーンがありますが、こんなイメージです。

 ブドウ糖摂取後10~15分ほどしてもなお症状が改善しない場合には、さらにブドウ糖を追加して摂取しますが、それでもなお改善しないときには、すぐに受診されるべきでしょう。

 低血糖の症状を繰り返していると、交感神経の症状(発汗など)を通り越していきなり昏睡に至ることがあります。これを「無自覚低血糖」と言います。無自覚低血糖は高齢者や乳幼児、自律神経障害のある方に起きやすいです。ですから、薬物療法を行っている場合には、低血糖を繰り返さないため処方されている薬剤や低血糖についての正しい知識を有している必要があるだけではなく、身内にも理解と協力を得られるようにしておかなければいけません。

 また、外出時に低血糖となることに備えて、飴玉を鞄の中に入れておくと言いでしょう。飴はサイズが小さく、かさ張らないので、電車の中などお店がない場所で低血糖が起きた時にも安心です。

まとめ

 低血糖はその症状が現れると繰り返しやすいです。ですから、自分の低血糖がどのような状況で起きやすいのかということを把握しておくことが低血糖を回避するためにも重要です。そうすれば例えば薬を飲んだ後の車の運転は控えるなど、事前に対処しうる手立てが分かります。

[参考記事]
「グルコーススパイク(血糖値の急上昇と急低下)とは」

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