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Ⅰ型糖尿病の私が妊娠中におこなった血糖値の管理

 

この記事は20代の女性に書いていただきました。

………….

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Ⅰ型糖尿病と診断

 事の始まりは学生時代、学校で行われる健康診断で尿検査に引っ掛かった事が始まりでした。精密検査を受けて下さいと言われ、父親がⅡ型の糖尿病で既に近くの大学病院を受診していた縁もあり、自分も直ぐに同病院に連れていかれました。

 病院に着くとまず採血、採尿をしてきて下さいと看護師さんに言われ直ぐに検査がありました。その後結果を見た担当の先生から「原因は分かりませんが高血糖の症状が出ています。Ⅰ型糖尿病の疑いが高いです」と告げられました。確かその時の結果で血糖値が300mg/dLに近い数値が出ていたと記憶・・HbAlcも8.0以上あったと思います・・。

 その場で即入院して治療を始めないと命の危険がある!と言われ親に連れられるままそのまま入院、その日から1日7回(毎食前、毎食後2時間+就寝前)の血糖値測定と1日4回(毎食前+就寝前)インシュリン注射の生活が始まりました。

第一子妊娠中~産後の血糖管理

 社会人になりⅠ型糖尿病の患者にも関わらず1日7回の血糖値測定と1日4回インシュリン注射すらままならない不規則な生活がしばらく続き、多少の血糖の管理の悪さが目立つものの、医師の情けもあり2~3か月置きくらいのペースで定期的に病院への通院を行いながら自宅にて自己管理で治療を行っていました。(今考えると恐ろしい事をしてますね・・)

 素敵なご縁があり結婚、程無くして第一子を授かる事になりました。その当時HbAlcも7.5台、本来であれば計画妊娠が望ましいⅠ型糖尿病の患者としてはとても良いとは言えないタイミングで妊娠してしまいました・・。糖尿病での妊娠は低身長、奇形、喘息などの複数のリスクのあるハイリスク妊娠であるため、受け入れ態勢も整っている大学病院の産科にお世話になることになりました。

 最初に取り掛かったのはインスリンを妊娠中でも安全の確証の取れている物に変更する事と不規則な生活の元であったお仕事を辞めました。それだけでもストレスの軽減になったのか生活リズムもきちんとしてきて、血糖値測定やインシュリン注射をしっかりと行う事で、HbAlcも7.5台から6.5くらいまで下げることに成功しました。

 こうして6.5まで下げた血糖コントロールですが、妊娠中はお腹の赤ちゃんのリスク(奇形児、巨大児、羊水過多など)を減らす為に優良値(HbA1c5.4%未満)を維持しなければなりません。幸いにも赤ちゃんの異常は妊婦健診でも見られず経過も順調であった為、こまめな栄養指導と外来受診で血糖コントロールをしていくことになりました。
地道なマメな通院の甲斐もあってか妊娠も週数が段々と進み安定期(妊娠5か月)に入るころにはHbAlc5.5まで下げる事が出来ました。

 しかしこの頃から度々低血糖症状に悩まされる事が増えました。理由としては妊娠週数が進むとお腹も大きくなっていき当然インスリンの効きも悪くなる為です。それに従い打つ単位数も増えると少しのずれで昼夜問わず低血糖が定期的に起こるようになりました。こればかりは自己管理では難しい所なので主治医の先生と良く話して単位数の調整をする事で解決しました。

 母子共に何とか週数は進み臨月になります。特にお腹の子にも問題が無く、自身の血糖管理も出来ていた為、予定日を待っての自然分娩でのお産になりました。子供は予定日より一週間ほど早い産まれでしたが元気に産まれ育っています(現在5歳になります)。

 産後は毎食前、就寝時のインスリンの単位数は妊娠前に戻します。今度は夜間の低血糖症状に悩まされました。この時は病院で指導して頂いた血糖値の上がりやすいもの(果汁100%のジュースやおにぎり)を摂取することで対応しました。

第二子妊娠と血糖管理

 はっきりと言うと一人目の子時ほどの自分ではこれと言った事をあまりしていません。理由としては妊娠が発覚してから早々から、出産間近まで入院管理を受けていた為です。糖尿病の話から少し逸れてしまう為入院していた理由は控えますが、24時間張り止めの点滴を使用していました。

 点滴の成分に少しながらブドウ糖が含まれていた為、血糖値のコントロールも最初の頃中々難しく高血糖が続いてしまったり、他にも24時間点滴でベットに横になっている以外出来ないのでなかなか思うように血糖値の管理が出来ず産科の先生や入院中担当の糖尿病の先生にもう少しコントロール出来るといいですね、とⅠ型糖尿病患者としてはかなり細かい注意を受けました。

 今回の対策としては糖尿病も担当している助産師さんや栄養士さんからのこまめな指導を受けることでコントロールしていきました。その際、一般的な糖質でのカーボカウントでの計算ではなく、脂質から計算する少し特殊なカーボカウントで血糖コントロールするという作業を行いました。

カーボカウントは糖尿病における食事療法、インスリン調整法の一つです。食物の中で最も急激な血糖上昇を来すのが炭水化物であるという事実から食事中の炭水化物量を計算して糖尿病の食事管理に利用します。

大阪市立大学大学より引用

 カーボカウントは自分は算出する事が出来なかったのでそこは栄養士さんや助産師さんにお任せしました。一食当たりのカーボ量が分かった所で今度は入院食の献立表から教えてもらったカーボ量を使い一日の血糖コントロールの流れから自身で毎食の単位数を決めるといった作業を行いました。それを2~3ヶ月も続けると血糖コントロールも安定してきて、HbAlcも6.5くらいから5.5程度まで改善しました。そこから間もなく二人目も何事もなく出産しました。(現在2歳になります。)

第三子妊娠と現在の血糖管理

 そして現在二人の子供を育児しながら三人目の妊婦生活を送っている所になります。二人小さい子供がいると中々糖尿病管理が難しい所も多々ありますが、症状のコントロールはⅠ型糖尿病特有のバラつきはあるもののHbAlcも5.8、グリコアルプミン(血糖値の状態を確認できる検査)も15.8と中々良好。安定している方なので糖尿病の外来自体は月に一度程度です。このまましっかりと通院継続していければ良いなと思っております。

最後に

 最初の子供を妊娠した時は正直不安でした。赤ちゃんは元気に育つかな・・健康に産まれて来てくれるかな・・もし流産していまったら・・産まれてくる子に障害があったらどうしよう・・等々考え出すとキリがないくらい。

 妊娠の度に違う症状に悩まされるし、毎回言われることも違い、正直その変化に戸惑うことも多いです。実際すっごい悩まされました。しかしながら赤ちゃんに関する事で親である自分が出来る事なんてしっかりと病院にかかりしっかりと先生と話をし、最善の状態を維持することしか出来ないと自分は思います。

 Ⅰ型糖尿病持ちで妊娠出産されているお話を聞くという事もおそらく滅多に無い事だと思いますし、この時代ネットで検索してもあまり情報も無い・・自分と同じく悩みを持たれている方、不安でどうしようもない気持ちでいる方の支えになればと思い、思い切って記事にしてみました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

[参考記事]
「糖尿病とインスリンの関係を詳しく解説します」

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