この記事は60代の男性に、お酒に関わる糖尿病の体験談を書いていただきました。病院に行った時には血糖値が400mg/dlもあったといいますから、これは
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今から約12年程前の、49歳の時に、私は糖尿病であると医師の診断を受けました。
その当時は、原子力発電所でメンテナンスの下請けをしている会社の事業所の所長代理を務めていました。事業所といっても、10代後半から30歳前半までの若い男性が中心の約20名程の小さな事業所でした。
ですので、何もしないと仕事は減ります。所長と私は、営業に力を入れる日々を送っていました。原子力発電所のメンテナンスの仕事は、ただでさえ、宴会の多いところです。その上、営業に力を入れるととなると、相当な回数のお酒の席に出るようになりました。元来、私はアルコールが好きで、外に出ると、深酒をする癖がありました。
「なるべくして、発病した糖尿病ではなかろうか?」と今では、思っています。やたら喉が渇き、トイレが近くなり、目が引きつるようになり、足もしょっちゅうひきつるようになりました。取引のある鉄工所の社長から「最近、急に痩せたけど大丈夫」と言われ、ヘルスメーターの乗ったら12kg減っていました。
心配になり、急いで、姉の胃がんをを見つけた胃腸科の医院に行きました。すると、「血糖値」が「400mg/dl」、「HbAlc(ヘモグロビンAlc)」が、「12%」の数値でした。紛れもない糖尿病でした。
[糖尿病]
①早朝空腹時血糖値
=>126mg/dl以上②食後2時間血糖値(75g経口ブトウ糖負荷試験で判定)
=>200mg/dl以上③HbAlc値
=>6.5%以上
【糖尿病の治療】
医師には「このままの生活をすると、死にますよ!」と言われました。そして、「薬の服用は、もちろんですが、生活習慣を変えて下さい。」という指導を受けました。
これから、約2ヶ月禁酒し、甘い物を控え、毎朝、散歩をするようになりました。しかし、「呑兵衛」の私の禁酒は2ヶ月が限界でした。
初診から3回目の通院の時に、お医者さんに聞いたところ、「飲んで良いとは言わないが、日本酒等の糖質の多い醸造酒より、焼酎やウィスキー等の糖質が入っていない蒸留酒の方が影響は少ないですよ。」という事を聞きました。
この日から、少しづつ焼酎を水割りで食事の時に飲むようになりました。その結果、月に1回、通院し検査をしていた、糖尿病診断の数値である「血糖値」と「ヘモグロビンAlc」は順調に下がっていきました。
自己との戦い
しかし自分に甘い性格が災いして、通院から約1年を経過した頃、勝手な解釈をして、月に数回、羽目を外して飲むようになりました。するとてきめんに、「血糖値」と「ヘモグロビンAlc」の数値は、上がりました。飲んべえという人種は、痛い目に遭ってもダメなようです。
この頃、「糖質100%OFF、プリン体100%OFF」のビールが発売され、ドッラッグストアで私の目にとまりました。これで毎日、晩酌をするようになりました。多少、普通のビールとは味が違いますが、十分に私の欲求を満足させ、「血糖値」と「ヘモグロビンAlc」を下げてくれました。普通のビールより安いこともあり、これ以来、ビールはこの手を嗜んでおります。
カルチャーショック
このような自己との戦いを2年程、繰り広げていたときに、「友達の友達」に誘われて、野良仕事のアルバイトをしたときでした(原子力発電所でメンテナンスは退職)。
「友達の友達」が、昼食の弁当を食べ終わると、バッグの中から注射器と何やら薬を取りだして、自らお腹に注射を始めました。聞いたところ「糖尿病を患っているのでインシュリンを注射しています。」ということでした。
頭をハンマーで殴られたような衝撃でした。「絶対にインシュリン注射だけはしたくない!」と思いました。
【自己との戦い-2】
「絶対にインシュリン注射だけはしたくない!」という強い思いを持ち続けていました。しかし、「呑兵衛」という人種は、だらしない生き物です。2年程経過すると、飲み過ぎが原因で、また、「血糖値」と「ヘモグロビンAlc」の数値を上げてしまいました。
とうとう、一番怖い言葉が、お医者さんの口から出てきました。「インシュリンを注射してはどうでしょうか?」 というものでした。思わず、「それだけは勘弁して下さい。」 と答えました。「一番効果的な治療だと思うのですが。」 というやりとりがあり、取り敢えずこの日の問診は終了しました。
これから、1年位、経過した時に、「良い新薬の飲み薬ができました。糖分を尿と一緒に排泄し血液に取り込まないようにするものです。」「但し、2週間分ずつしか、調剤できません。それでも構いませんか?」 というコメントが、お医者さんからのありました。(※因みにルセフィという薬です)
私は、インシュリンを注射が嫌です。「是非、その薬をお願いします。」と即答しました。半年後、新薬の取扱が緩和され1ヶ月分の調剤が出来るようになりました。おかげで、2週間毎に通院していたのですが、月に1回の通院で済むようになりました。
【結論】
糖尿病は放置しておくと、腎障害などの合併症はもとより、脳梗塞など色々な病気を引き起こします。命を落としたり、苦しい思いをしたくなければ、治療は止めることはできません。
しかし、「呑兵衛」は、お酒が止められません。細心の注意を払い、死ぬまで糖尿病と向かい合って生活していくことしか、今の私には考えられません。