私は糖尿病

15歳で1型糖尿病と診断されるまでの経緯と治療について

この記事は40代の女性に書いていただきました。

…………

 皆さんは1型糖尿病という病気をご存知ですか?いわゆる「成人病」の2型糖尿病と少し違い、血糖値のコントロールが非常に難しい病気です。

 2型糖尿病は遺伝、肥満、不規則な生活、ストレスなどが主な原因とされていますが、1型糖尿病は全体の約1割と少ない発症率。その原因が明らかになっていません。

 私は現在42歳(女性)ですが15歳の時に1型糖尿病と診断されました。その当時から今までの体験談を書きたいと思います。

広告

診断されるまで

 まだ高校1年生の食欲旺盛な時期、家の食事だけでは足らずに売店やコンビニでパンやポテトチップスを買って友人達と食べている毎日でした。そのうち少しずつ体重が減少し、思春期だった私はただ単純に喜んでいました。

 ですが、たくさん食べても食べても体重が減っていくにつれ体力もなくなり、学校の階段を上るのもきつくなり始めました。

 水をがぶ飲みしたり、家で食事後はすぐ眠くなり横になる私を見た母親が不信に思い、知人の内科医に診てもらいました。

 血液検査の結果、空腹時血糖値が315mg/dl。健常の人は80~110内に収まっていないといけません。田舎で大きな病院がなかったため、2時間かけて専門の病院へ。

 そこでは、ブドウ糖負荷試験といってブドウ糖を溶かした水を飲み血糖値の上がり具合を調べました。結果は500を超えていました。

 母親と一緒に医師の話を聞いていましたが、私は突然降りかかった災難に、ただ…漠然としていました。この先一生、自分でインシュリン注射をしないといけないことや、学校はどうなるの?と分からないことばかり。母は一生懸命、医師の話を聞いていました。

 普通の方だとヘモグロビンA1cは4.6~6.2%ですが、コントロールのできていない私は常に8%を上回っていました。

1型糖尿病、原因は?

 私が糖尿病になった原因は医師の話で「今の時点では“原因不明”」ということでした。「あなたの病気は遺伝ではないし、子供を産んでも遺伝しません。何かストレスでもあった?」と聞かれました。ストレス?私に?…全く思い当たりませんでした。

 しかし、私は昔から人見知りで、大人しい性格。自分の言いたいことを言えない性格でした。親が夜働いていた為、悩みも自分で考えて自分で解決するのがクセになっていました。その人の思考によっては自律神経も狂ってしまうことで代謝が悪くなり、内臓の機能が一部機能しなくなってしまうそうです。

 私が糖尿病になった原因はその可能性もあると、看護師さんに言われました。他にも不摂生、偏った食事はもちろん、喫煙も糖尿病になるリスクが高いようです。

入院生活

 専門の病院では、今後自分で血糖値をコントロールするために糖尿病に関しての知識を2週間勉強しました。血糖値が上がったり下がったりする仕組み、低血糖の対処法、家庭での食事療法。私の指示カロリーは1日1500kcalでした。家庭でのメニュー例は以下の通りです。

〈朝食〉
・トースト:食パン6枚切り1.5枚、低糖ジャム10g

・小松菜の卵焼き:卵1個、サラダ油2g、小松菜適量、めんつゆ小さじ1
→小松菜は小さく刻んで卵に混ぜて焼く。

・ヨーグルト20g

・減塩味噌汁(即席)

〈昼食〉
・ご飯150g

・鶏むね炒め物:鶏むね肉60g、サラダ油3g、はちみつ大さじ1、粒マスタード大さじ1

→鶏むね肉は食べやすい大きさに切り、フライパンに油を敷いて焼き目をつける。はちみつ、粒マスタードをフライパンに入れ、肉に味を絡ませる。

 ・野菜サラダ

 ・中華風スープ:コンソメスープ、春雨5g、白ごま、小葱少々

〈夕食〉
・雑穀ご飯150g

・鮭のクッキングシート蒸し:鮭1切れ60g、人参、玉ねぎ約1/3、しめじ約20g、サラダ油2g、酒小さじ1、水40cc、ポン酢小さじ1、クッキングシート
→野菜は食べやすく切り、しめじは手でほぐす。クッキングシートはあらかじめ折り目をつけておく。

 クッキングシートに野菜→鮭→しめじの順でのせ、調味料をかける。テフロン加工フライパンで弱火で7分ほど蒸す。

・リンゴときゅうりのサラダ:リンゴ1/8個、きゅうり1/2本、ノンオイルドレッシング20g
→リンゴときゅうりを1センチ角に切り、ドレッシングをかける。

・減塩味噌汁(即席)

 そして結婚や妊娠出産についての心構え。1型糖尿病は比較的若い世代が多く、私のように思春期に病気になる方も多くいるためその心のケアも非常に重要です。

 女性にとって結婚は重要なイベントですが、この病気にかかってしまうと「糖尿病」という嫌な病名が必ず付いてきます。こんな病気の自分なんか相手にされないだろうという不安、毎日インスリン注射を打たないと生きていけない、子供を産めるのか?…など。当時、実際私は交際していた彼に病気のことを打ち明けられず、何も言わずに別れを告げた経験があります。

 皆が皆同じではありませんが、病気を患うと心まで病んでしまう方も多いようです。

インスリン治療法

 さて1型糖尿病の治療のメインは何といってもインスリン注射が欠かせません。私は持続型と中間型を主に使用していました。

 持続型は一日のうちの基本のインスリンで、ある程度安定した作用が一日続きます。中間型は食事する30分前に注射を打ち、血糖値の上昇をコントロールします。どちらも必要不可欠です。これを打ち忘れたり、量を多く打ちすぎてしまったりと、最初のうちは中々慣れませんでした。

 しかも私に合うインスリンの種類も特定出来ず、とても難しいものでした。打つ時間帯や回数、投与量を変えましたが、仕事をしている私に「ああしろ、こうしろ」と医師や看護師にあきれ顔で言われたりして一時期は自暴自棄になったこともありました。

 しかし自暴自棄では最悪の未来しか待っていないことに気づき、転院を決意。少しでも自分のやり易い、ストレスの少ない環境で治療したいという思いでした。

運動療法

 食事療法、インスリン療法に伴い大事なのが運動療法。インスリン注射を打っているので、激しすぎる運動や食事しないままでの運動は低血糖を招き、大変危険です。必ず食事または補食を摂ってから運動します。運動中もブドウ糖ゼリーやキャンディーなどを必ず持参しています。

 私自身が試した運動で一番取り組みやすかったのがヨガです。ジョギングやウオーキングも良いのですが、冷え性の私は雨の日に取り組むことが困難でしたがヨガなら室内で可能でした。もちろん他の方皆さんに通用するわけではありませんから、自分にあった運動療法を続けて行くことが大事です。

インスリン注射を忘れ、意識を失う

 昔の話ですが、私は友達と遊びに行く予定を立て、県外へ遊びに行きました。一緒に行く友人には病気のことを話していませんでした。恥ずかしかったのです。しかし、行きの電車の中で重大なミスに気付いてしまいました。

 なんとインスリン注射を自宅へ忘れてきてしまったのです。顔面蒼白になりました。誰かに持ってきてもらえる距離でもなく、友人は病気のことを知らない。そのまま注射を打たずにドキドキしながら過ごしましたが…とうとう私は高血糖で倒れてしまいました。

 何とか病院に駆け込みましたが、事情を知らない友人はオロオロ…。結局意識を失って入院。やっと持ち直して目が覚めた際に看護師さんに「もう少しで死ぬとこだったんよ」と言われました。

 話を聞いた友人はビックリしていて「言ってくれたらよかったのに」と涙を浮かべていました。あの時は本当に申し訳なかったです。それ以来自分に関わる周りの人にはきちんと病気のことを話すようにしています。

これから

 私という人間は1型糖尿病で出来ています。今のA1cは7~8%。良い成績ではありませんが、それなりに努力してきました。1型糖尿病に選ばれた私、他の人ではあまりできない体験。これからも「特別な私」として1型糖尿病と共に歩んで行きたいと思います。

[参考記事]
「中学生の時に突然起きた1型糖尿病。血糖値は1000を超える」

モバイルバージョンを終了