この記事は60代の男性に、糖質制限で血糖値やHbA1cが低下した体験談を書いていただきました。
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還暦を超えた身体というものは、至るところに支障が出るもの。若い頃のように治すのは難しい…そう思いこんでいた私を変えてくれたのが糖質制限でした。
糖質制限にたどりつく最初のきっかけは、妻の死でした。妻は生前の定期健康診断では高血圧であること以外は、特別これといった病気はありませんでしたが、突然のクモ膜下出血により52歳の若さで先立ちました。
その後、妻の健康について考えてあげればよかったという後悔とともに、自身の健康について真剣に考えるようになりました、当時、私は65歳で身長172cm、体重92.3kgと典型的な肥満体型で、血圧は最も悪い時で191/132でした。典型的な肥満体型でした。ダイエットはこれまで何度か挑戦しましたが、どれも続きませんでした。
通院当初は6~7種類の薬を処方され、血圧や血糖値を下げるもの、肝臓の負担を減らすものなどがありました。薬の効果で血圧はある程度下がったものの、過去1~2か月の血糖値を示すHbA1cの値はなかなか下がらず、正常値5.9未満に対して、8.0付近をさまよい、薬を飲んでいるにも関わらず、高血糖は改善されませんでした。
高血糖の弊害はすでに身体の節々に現れており、60歳を過ぎてから食事後に足の神経が疼くようにしびれることが多くなっていました。かかりつけの医者からは、これ以上続くようであればインシュリンを処方することになると宣告されていました。
糖質制限関連の本を読みあさって分かった3つのこと
このままではいけない。でも、どうすればいいのか…と悩んでいるとき、ふと立ち寄った書店で「糖質制限」というキーワードにめぐり合いそこから糖質制限肯定派と否定派の書籍を片っ端から読んでいきました。そこから分かったことは以下の3つ。
1. 糖質は中毒性があり、必要以上の空腹感をもたらすもの
2. 米より小麦に含まれる糖質のほうが吸収率が高い
3. 糖質制限に失敗するのは、継続するのが難しい極端な糖質制限食にある
あまり深く考えて自分を追い込まず、この3つのポイントだけ大事にして糖質制限食を実施しました。
ピザやお好み焼き!?我慢しない、緩やか糖質制限食
私はかつて続けることができたダイエットがなかったので、糖質制限食として糖質量が多少多くても続けられる食事にすることを心がけました。そのため、ジャガイモやさつまいもなど、糖質を比較的多く含む食品も完全には断っていません。ただ、料理で使うときは今まで使っていた量の半分以下にとどめ、毎日料理で使うことがないようにしました。
また、砂糖や糖類を含む調味料も気にせず使いました。これらを断ってしまうと、味のコクや深みが乏しくなってしまい、飽きがきてしまうと思ったからです。ただし、こちらも野菜同様、使うときは多くならないように意識しました。
しかし、それでも小麦を使った料理ができないとなると、料理のバリエーションが限られてしまい、最初は順調でもだんだんと飽きがきてしまうことに…
そんなとき、大好きなピザを食べたい!お好み焼きを食べたい!と誘惑にかられましたが、これらの味を楽しめる糖質制限食ができないものか悩みました。要は小麦粉を使わないでピザやお好み焼きの味や触感に近ければ良いと考えました。その結果、たどり着いた料理がこちらです。
〈油揚げピザ〉
① 小麦生地のかわりに油揚げを台にする
② ①にピザソースをかけ、具をのせる
③ 好きなだけミックスチーズをかけて、トースターで焼く
〈大根と玉ねぎのチーズお好み焼き〉
① 大根の皮を厚めにむいて、その皮を細切りにする
② 玉ねぎはスライサーでスライスする
③ 玉子1個に対し、片栗粉を大さじ1杯とる
④ ①②③を混ぜて焼く。
⑤ 両面が固まってきたら、ミックスチーズを片面にまんべんなくのせ、チーズがこんがりするまで焼く
⑥ ソースをかける。
チーズお好み焼きのほうには糖質を含む片栗粉を使いますが、熱でかたまりやすいので大さじ1杯で済み、小麦よりも断然糖質を抑えることができます。最後にチーズをのせることで、野菜だけでよりも満足感が出ます。
このほか、ご飯を食べたいと思ったら、雑穀米を子供用お茶碗に一杯、カレーライスを食べたかったら、白米の代わりに木綿豆腐…といったように、糖質を毛嫌いするのではなく、糖質と上手に付き合っていく、ゆるやかな糖質制限食にしていました。
人間、追い込まれるとそれまでになかった発想を得られることがあります。このように、どうしても「○○食べたい」と思った時、自分の欲求を無理して無視することなく、いかに糖質を抑えながらそれを楽しむかを探す姿勢があったからこそ、糖質制限を続けていけたと思います。
■結果
糖質制限を始めてから、最初の1か月で5キロ、2か月目から1週間ごとに約1kgずつ減り、3ヶ月で14.3kgの減量に成功しました。92.3kgから78kgとなったことで、身体が本当に軽くなりました。約40年ぶりの体重です。
さらに、血圧は正常値となり、食後に感じていた足のしびれもなくなり、出っ張ったお腹のせいでS字に曲がっていた腰も腰痛に悩まされることがなくなりました。
HbA1cや血糖値も減量の効果や糖質自体をセーブすることで低下しています。
■年をとっても健康でいることの大切さ
糖質制限を始めてから5ヶ月経ちましたが、目標の75kgに到達しました。それを維持するために未だに緩い糖質制限を継続しています。これはHbA1cや血糖値を上げさせないためでもあります。
老齢になってから常に健康の不安がつきまとっていましたが、糖質制限で自分に自信を取り戻すことができました。そのおかげで、日々を楽しく意欲的に過ごすことができています。人生を楽しむことは何にも代えがたいものです。糖質制限は私にそれをもたらしてくれました。
[参考記事]
「糖質制限食(低炭水化物食)における糖質1日の必要量」