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インスリン抵抗性の原因は脂肪。血糖値が下がらない恐怖

 

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■インスリン抵抗性とは

 インスリン抵抗性とは、すい臓からインスリンがきちんと分泌されているのにも関わらず、その働きを邪魔する要因(脂肪など)があるために、血液の中のブドウ糖が細胞内に十分に取り込まれない状態のことをいいます。そうすると「血糖値が下がらない」という状態になります。これを「インスリン抵抗性が高い」とか「インスリン感受性が低い」と表現をします。

■インスリン受容体とインスリン抵抗性

 血液の中にブドウ糖が増え出すとすい臓からインスリンが分泌されます。インスリンが、細胞の表面に存在するインスリン受容体(インスリンの受け手)と結合することで「GLUT4」と呼ばれるグルコース輸送体(グルコースの運び屋さん)が活動し、血液中からブトウ糖を細胞内に取り込みます。その取り込んだブドウ糖をエネルギーとして使用したり、筋肉に溜めたり、脂肪として蓄積したりし、そうすることで血糖値は、一定に維持されています。

 以上のように、実際の血糖値コントロールはインスリンの存在だけで行われているのではありません。インスリンの分泌量が十分であるとしても、インスリン受容体への働きかけが不十分な場合や、インスリン受容体の数が不足している場合にはインスリンの効果が弱くなります。インスリン抵抗性が高ければ、インスリンの分泌がなされていても血糖の細胞内への取り込みが不十分になりますから高血糖を引き起こすことになるわけです。

■インスリン抵抗性が高くなる原因

 インスリン抵抗性が高くなる主な原因としては、中性脂肪が邪魔をしてインスリン受容体の数が減少してしまうことです。インスリン受容体の数が減少するということは「GLUT4」が活動できなくなるわけですので、血糖値は下がりにくくなります。さらに、この中性脂肪がインスリンの働きを阻害する物質(TNA-α)を分泌することによってもインスリン抵抗性は高くなります。

 インスリン抵抗性を引き起こす脂肪以外の要因としては「運動をしないこと」や「食べすぎ」「遺伝」を挙げることができます。

■インスリンは肥満ホルモン?

 肥満(脂肪)がインスリン抵抗性の大きな要因であることは先に書きましたが、実はインスリンの分泌自体も肥満とも密接な関係があります。ダイエットに強い関心を持っている方であればご存じという方も多いでしょうが、実はインスリンの働きは、糖の代謝を促進することだけではありません。つまりインスリンは、糖を細胞に取り込む働きを促進させるだけではなく、そこで使い切れなかった糖をグリコーゲンに変えて体内(筋肉や肝臓)に蓄える働きをも促進します。そして、グリコーゲンとしても取り込めなかった糖は中性脂肪として蓄積されていきます。

 これらの蓄積されたグリコーゲンや脂肪はエネルギーが不足した時のために貯蔵をしているわけです。体内のエネルギーが不足するとまず筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンが優先的に使われるようになっています。そして、グリコーゲンの貯蔵を使い果たした後に脂肪がエネルギーとして使われます。もちろん、貯蔵されているグリコーゲンを使い切れない場合には脂肪はエネルギーとして使われないため、積み重なっていきます。そうすると溜まった脂肪によりさらにインスリン抵抗性が増すことになります。

 インスリン抵抗性が高いということは血糖値が下がっていない状態ですので、より多くのインスリンで血糖値を下げようとすい臓は頑張ります。そうなれば、さらにインスリン作用で肥満になるという悪循環に陥ります。最終的にはすい臓の負担はますます重くなり、インスリンの分泌それ自体までもが(すい臓の疲弊で)低下し始めることになります。

■インスリン抵抗性を改善するために

 糖尿病患者であれば投薬によってインスリン抵抗性を改善することもできますが、それ以外の方は食事と運動によってインスリン抵抗性を改善していくことが一般的でしょう。特に運動は、筋肉によるブドウ糖の代謝が促進されることで、インスリン抵抗性が改善します。運動は30分程度の軽いウォーキングでも効果がありますので、無理をしない程度に日常生活に取り入れていくのがベストです。

 しかしながら、運動それ自体は、直接的にインスリン抵抗性を治すものではありませんから、それに併せて抜本的な改善のために食事(高血糖にならない食事を心がけること)が大切であることは言うまでもありません。食事に気を付けることで中性脂肪を減らすことはもちろん、できるだけすい臓に負担をかけないために糖質が少ない食事を心がけてください。最近では糖質が少ない食事である「糖質制限食」を糖尿病患者に指導している病院もあります。

[参考記事]
「糖質制限食(低炭水化物食)における糖質1日の必要量」

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