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糖尿病と認知症って関係あるの?

 

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糖尿病ってどんな病気?

 糖尿病は、体内のインスリンの不足により、血液中の血糖値が慢性的に高くなる病気です。

 通常、摂取した食物に糖質が含まれている場合、膵臓からインスリンが分泌され、血糖の調整を行います。しかし、糖尿病になると、膵臓の機能が衰えることでインスリンの分泌が低下し、最悪の場合、全く出なくなってしまいます。インスリンは糖質を細胞に取り込む役割があるため、膵臓が衰えると全身に栄養(エネルギー)がうまく生き届かなくなります。

糖尿病の怖い合併症

 糖尿病の三大合併症は、網膜症・腎症・神経障害です。

 糖尿病網膜症は、進行すると眼の出血がひどくなり、失明の危険性があります。

 糖尿病性腎症を患うと最終的には(酷くなると)人工透析が必要となり、腎移植を行わない限り永続的に透析を継続する必要があります。

 糖尿病性神経障害では、痛みやしびれ、感覚障害が起こります。怪我をしても自覚症状が乏しく、また治癒力も低下しており、指先の小さな傷でも化膿・悪化しやすい状態です。なかなか治らず、それどころかますます悪くなり、最後には指が壊死(えし)して切断を余儀なくされる方もいます。指だけではなく、下肢や上肢という広い範囲での切断も珍しくありません。治癒力の低下は、加齢のせいと見過ごされることもあり、とても危険です。

認知症との関係は?

 認知症は、アルツハイマー型認知症が有名ですが、それだけではなく、脳血管が障害を受けることによって発症する脳血管性認知症などがあります。

 脳血管性認知症は、脳卒中などの脳の病気を発端として起こる認知症です。

 糖尿病になると血管内の糖が原因で動脈硬化を起こしやすくなります。血管内の糖質とたんぱく質がくっ付くことで血管が脆くなっていきのです。それが全身の血管に及び、脳血管も例外ではありません。それが認知症の原因となりうるのです。

 認知症と糖尿病の関連性は日本で行われた調査(久山町研究)で、この2つの病気の関連性を強く示唆する結果が出ています。

認知症が糖尿病を悪化させる

 認知機能が低下した糖尿病患者は、血糖値のコントロールが上手くできなくなります。

 糖尿病の主な治療は、食事、運動、薬が中心ですが、認知症の人の場合、いずれにしても家族などの支援がなければ無理です。理解力や自制心が低下した認知症の状態ではカロリー計算どころか、薬の飲み忘れも考慮しなければいけません。

 薬物療法では服薬だけでコントロール不可になると、インスリン自己注射が必要となります。インスリン注射の単位数合わせは、細かい作業です。視力が低下したり、認知機能の低下した状態では、正しく行えない危険性があります。インスリン注射の単位の間違えで低血糖を起こして意識障害を招くことも考えられます。

血糖値の変動が認知症の症状を悪化させる

 認知症の症状は、記憶障害だけではなく、夜間に起き出したり、奇異な行動をとったりなどの症状があります。

 つじつまの合わない話をしたり、興奮・混乱・夜間せん妄などが起きている時には、血圧や血糖値が異常値を表していることが多いのです。低血糖はせん妄の原因の一つに数えられています。急に認知症の症状が現れた、進行してきたと思った時は、血圧や血糖値の異常を疑ってみるのも大切なことです。

糖尿病から認知症にならないために

 前述したように、糖尿病の主な治療は食事、運動、薬です。高齢になり判断力や理解力が少し低下した段階で、家族や支援者の介助が必要となります。「今までできていたから大丈夫」と思わず、本人の不安を取り除くためにも生活の様子をきめ細かく見ていくことが重要です。

 最近では、貼ったままで血糖値測定ができるパッチや、さらに血糖値に応じて薬剤を経皮投与する仕組みなどが研究されています。糖尿病の進行や認知症の発症リスクを軽減できる、このような機器の開発に期待したいものです。

[参考記事]
「糖尿病になると認知症になりやすいという研究を紹介」

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