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糖尿病を予防するために行うべきこと。ストレス解消、禁煙など

 

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■糖尿病と血糖値

 糖尿病になるということは、インスリンの作用が弱かったり、インスリンの量の不足があるために、血糖値コントロールが平常に機能していないことを意味します。

 血糖というのは、血液中のブドウ糖のことですが、これを指し示す数値が血糖値です。血糖値は血液1dL(デシリットル)当たりのブドウ糖量を表していて、80~110mg/dL(ミリグラム・パー・デシリットル)が平常であるとされています。これが110~125mg/dLとなると境界型(いわゆる糖尿病予備群)、126mg/dLとなると糖尿病ということになります。

■健康診断と血糖値

 ところで、私たちが特定健診などで血液検査をする際に測定される血糖値は、空腹時血糖と呼ばれるものです。血糖値は、糖質を摂取することによって変動(上昇)します。ですから、検査としては空腹時の安定した状態の血糖値を測定するわけです。

 「糖尿病を予防する」ということに関心をもたれる方の多くは、特定健診の際に「境界型」であると指摘された方が多いのではないかと思います。もしくは、空腹時血糖値が100mgから110mgまでの平常値の中でも高値(平常高値)なので、「すこし高いのかしら」と気になっているかもしれません。

 糖尿病はサイレントキラーと呼ばれたりするように、その進行を私たちが自分自身で自覚することの難しい病気です。実は、特定健診で測定する空腹時血糖の値が平常高値(平常値の中の高値)となっているのは、既に体内の血糖コントロールの不良が一定以上に進行している状態であるのです。

 空腹時血糖が正常であっても、すでに食後の高血糖状態によって体に大きな負担がかかっていることがあります。特定健診では空腹時血糖を測定していますので、食後の血糖値は分からないのです。食後の高血糖が続くと、血糖コントロールに重要な役割を果たしているすい臓の疲労が蓄積し、空腹時血糖も高くなる(慢性高血糖)状態へと進行していくのです。ですから、特にいわゆる正常高値(空腹時血糖100~110mf/dL)の方が、空腹時血糖が正常だからと安心してしまうのは実に危険なことなのです。

 「血糖値が高めと指摘された」とか「もしかしたら高いのかもと自分の血糖値に関心を持った」ということは、糖尿病を積極的に予防する良いきっかけだと考えてみてはどうでしょうか。

■糖尿病を予防する

 それでは、糖尿病を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。

 糖尿病は、冒頭でも説明したように、体内の血糖コントロールの不良のことを言います。原因はすい臓の機能不全によるインスリンの分泌不足や肥満などによるインスリン作用の低下です。

 ですから、理屈としては、このインスリンの供給元であるすい臓に問題が起こらないようにすることが大切だと言えますが、そのためには、よく言われるように、食事と運動を見直すことが最も効果的な方法であるのです。

予防①食事を見直す

 血糖値は、「糖質」を摂取することによって上昇します(血糖値を上げるのは糖質だけ)。糖質をたくさん摂取すれば、それだけ血糖(血液中のブドウ糖)が増えますから、その代謝を促進するためにそれだけ多くのインスリンが必要となります。その状態が続くことで、すい臓が過労状態になると、インスリンの分泌が悪くなり摂取した糖を代謝しきれなくなります。

 ですから、まずは「血糖値を上昇させない食事」を心がけることが糖尿病予防のために重要なのです。この血糖値を上昇させる「糖質」は、炭水化物に含まれるもの(糖質=炭水化物-食物繊維)です。炭水化物を含む食品の代表は、ご飯やパンといった主食ですが、揚げ物の衣や、根菜類、イモ類にも多量の糖質が含まれます。最近では「糖質制限」や「ロカボ」などというフレーズをよく耳にしますが、これらはこの糖質量の摂取をコントロールする食事法のことです。

予防②運動
 運動は糖尿病の予防にとって食事と並ぶ大きな柱です。高血糖というのは、「糖を血液中で持て余している状態」であるわけです。本来私たちの体は、エネルギー源として糖を細胞内に取り込んで体を動かしています。

 しかし摂取した糖が多すぎる(インスリンに問題が生じれば多くなくても)とそれを取り込みきれずに血液中に残ったままになってしまい、「糖を持て余す」ということになります。糖尿病の予防としての食事は、「糖を取り過ぎない」ことにその狙いがあるわけですが、運動は「糖を使う」ことに狙いがあります。

 運動による糖代謝の促進は、3つの場面で説明することができます。まず運動(有酸素運動)により筋肉が大量のエネルギーを必要とするために、血糖が大量に消費されることで、血糖値が抑制されることです。

 次に、運動によって脂肪が燃焼することにより、肥満が解消され、糖代謝が行われづらかった状況が改善されます(インスリン抵抗性が改善されるといいます)。インスリンの効きが悪い一因に脂肪を挙げることができますので、これが解消するということは血糖値の安定にも寄与します。

 さらに、運動により筋肉量が増えることでも、さらに糖代謝しやすい環境が整えられていきます(インスリン感受性が良くなるといいます)。筋肉を付けることで基礎代謝が良くなり、それだけエネルギー(糖)を効率よく使うことができるようになります。

予防③ストレス解消
 血糖値はストレスと密接な関係があります。私たちの体はストレスを感じると交感神経が活発となるので、様々なホルモンを分泌させます。その代表的なものは、グルカゴンやアドレナリン、甲状腺ホルモン、コルチゾールといったホルモンです。これらは血糖値を上げるので、ストレスを感じている人は糖尿病発生リスクが高くなります。

予防④質の良い睡眠
 ストレスとの関係でもそうですが、十分な睡眠は私たちの体を正常に維持するために不可欠なものです。十分な睡眠がインスリン感受性(インスリンの作用のしやすさ)を良くすることの研究結果もあります。

予防⑤禁煙
 喫煙者の糖尿病リスクは非喫煙者のそれと比べて高いことがよく知られています。また、理由はタバコは血液の流れを悪くしますから、インスリン抵抗性(インスリンが十分に作用できなくなる)を高めることになるからです。インスリンの効果が弱くなることで血糖値が高い状態のまま置かれることになります。

 したがって、糖尿病の治療としてだけではなく、予防としても禁煙は非常に重要です。

[参考記事]
「糖尿病の食事療法であるカロリー制限食と糖質制限食について」

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