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血糖値が高いとどうなる?糖尿病と生活習慣病の深い関係

現代社会において、「血糖値の高さ」は多くの人にとって身近な健康問題となっています。健康診断の結果で「血糖値がやや高めです」と言われたことがある人は少なくないでしょう。

血糖値の上昇が続くと、やがて「糖尿病」へと進行する可能性があり、さらに高血圧や脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中といった重篤な生活習慣病の引き金にもなります。本稿では、血糖値の仕組みや高血糖がもたらす体への影響、糖尿病との関係、そして予防と対策について詳しく解説します。

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1. 血糖値とは何か?

血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度を示す指標です。ブドウ糖は、私たちの体が活動するためのエネルギー源であり、食事から摂取された糖質が消化・吸収された後に血液中に取り込まれます。血糖値は膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」によってコントロールされており、インスリンの働きによってブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪細胞に取り込まれていきます。

空腹時の正常な血糖値は、一般的に70〜99 mg/dLとされ、食後2時間後の血糖値が140 mg/dL未満であれば正常とされます。しかし、この基準を超えた高い血糖値が続くと、「高血糖状態」となり、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

2. 血糖値が高いとどうなる?

a. 高血糖の初期症状

高血糖状態が続いても、初期には自覚症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに体が少しずつ蝕まれていきます。自覚症状が現れるとすれば、以下のようなものが挙げられます:

  • 異常な喉の渇き

  • 頻尿

  • 倦怠感

  • 目のかすみ

  • 傷の治りが遅い

これらは体が高血糖状態に対応しようとする過程で起こる症状です。たとえば、血糖値が高いと腎臓は余分な糖を尿に排出しようとし、それによって水分も一緒に排出されるため脱水状態になり、喉の渇きが強くなるのです。

b. 高血糖が引き起こす合併症

高血糖状態が慢性的に続くと、血管に深刻なダメージを与え、全身にさまざまな合併症を引き起こします。これらは大きく「細小血管障害」と「大血管障害」に分けられます。

細小血管障害(ミクロアンジオパチー)

  1. 糖尿病網膜症
     目の網膜にある細い血管が障害され、視力低下や最悪の場合失明に至ることもあります。

  2. 糖尿病腎症
     腎臓のろ過機能が低下し、尿中にタンパクが漏れ出すようになります。進行すると人工透析が必要になることも。

  3. 糖尿病神経障害
     手足のしびれや痛み、感覚の異常、消化不良や排尿障害などの自律神経の障害が生じます。

大血管障害(マクロアンジオパチー)

  1. 動脈硬化の進行
     血糖が高いと血管の内皮細胞が損傷しやすくなり、動脈硬化を招きます。

  2. 脳梗塞・脳出血
     血管が詰まったり破れたりすることで脳卒中を引き起こします。

  3. 心筋梗塞・狭心症
     心臓の血管が詰まることで心筋への血流が止まり、命に関わることも。

  4. 末梢動脈疾患(PAD)
     足の血管が詰まり、歩行困難や最悪の場合、壊疽により切断が必要になることもあります。

3. 糖尿病と生活習慣病の関係

糖尿病は、典型的な生活習慣病の一つであり、特に「2型糖尿病」は食事、運動、ストレス、睡眠などの日々の生活習慣が大きく関与します。

a. 糖尿病の種類

  1. 1型糖尿病
     自己免疫により膵臓のインスリン分泌細胞が破壊され、インスリンがほとんど出なくなるタイプ。若年層に多く、生活習慣との関係は少ない。

  2. 2型糖尿病
     インスリンの分泌が不十分、または効きが悪くなることで血糖値が高くなる。全糖尿病患者の90%以上を占め、食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレスなど生活習慣が主因。

b. メタボリックシンドロームとの関連

糖尿病は「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と密接な関係があります。内臓脂肪が蓄積すると、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、糖尿病が発症しやすくなります。また、同時に高血圧や脂質異常症も併発しやすく、これらが重なることで動脈硬化や心血管疾患のリスクが劇的に高まります。

4. 高血糖・糖尿病の予防と対策

糖尿病は「治らない病気」と言われがちですが、早期発見と適切な生活改善によって、進行を抑えることが可能です。

a. 食生活の見直し

  • バランスの良い食事:主食・主菜・副菜をバランスよく摂る

  • 食物繊維の摂取:野菜、海藻、きのこ類で血糖の上昇を緩やかに

  • 高GI食品の制限:白米やパンよりも玄米や雑穀に

  • 間食の制限:甘いお菓子やジュースは血糖値を急上昇させるため注意

b. 運動習慣の確立

  • 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を週150分以上

  • 筋トレによって筋肉量を維持・増加させることで、インスリンの働きを改善

c. 睡眠とストレス管理

  • 睡眠不足や慢性的なストレスも血糖コントロールに悪影響

  • リラックス法(呼吸法、瞑想など)を取り入れる

d. 定期的な健康チェック

  • 年に一度は健康診断を受け、血糖値・HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖値)を確認

  • 糖尿病予備軍と診断された場合は、すぐに生活習慣の見直しを

5. まとめ

血糖値が高い状態を放置すると、糖尿病へと進行し、最終的には全身の臓器に深刻な合併症を引き起こします。糖尿病は決して他人事ではなく、現代人誰しもが発症する可能性のある「生活習慣病の中核」と言えるでしょう。

しかし、裏を返せば、生活習慣を見直すことで十分に予防・管理可能な病気でもあります。食事、運動、睡眠といった日々の習慣を整えることで、血糖値を正常に保ち、健康な生活を維持することができるのです。

自分の体を守るためにも、今の生活を振り返り、小さな習慣から改善を始めてみてはいかがでしょうか。それが10年後、20年後の自分の健康を守る最善の一歩になるはずです。

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