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高血糖と低血糖の違いとは?糖尿病患者が知るべき注意ポイント

糖尿病という病気において、血糖値のコントロールは最も重要な課題のひとつです。血糖値が正常範囲を超えて高くなる「高血糖」と、逆に異常に低くなる「低血糖」は、どちらも体に悪影響を及ぼしますが、その症状、原因、対応方法、そしてリスクは大きく異なります。

本記事では、高血糖と低血糖の違いを分かりやすく説明しながら、糖尿病患者が日々の生活で気をつけるべきポイントを詳しく解説します。

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高血糖とは?

高血糖とは、血液中のブドウ糖濃度が通常より高くなっている状態を指します。空腹時血糖値で126mg/dL以上、または食後2時間の血糖値で200mg/dL以上が目安とされています。糖尿病の診断や管理においては、この数値を継続的にモニタリングすることが重要です。

高血糖の主な原因には以下のようなものがあります:

  • 食べ過ぎ(特に炭水化物の摂取過多)

  • 運動不足

  • インスリンや内服薬の投与忘れ、または効果不足

  • ストレスや感染症、風邪などの体調不良

  • ステロイド薬の服用

高血糖の症状は、初期段階ではあまり自覚されないこともありますが、以下のような兆候が現れることがあります:

  • 異常な喉の渇き

  • 頻尿

  • 倦怠感(だるさ)

  • 視力のかすみ

  • 頭痛や集中力の低下

  • 体重減少(特に急激なもの)

長期間にわたり高血糖状態が続くと、合併症のリスクが高まります。具体的には、網膜症、腎症、神経障害などの慢性的な合併症に加え、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患を引き起こすことがあります。また、急激な高血糖では「糖尿病性ケトアシドーシス」や「高浸透圧高血糖症候群」といった命にかかわる状態に陥ることもあるため、注意が必要です。

低血糖とは?

低血糖は、血糖値が通常よりも極端に低くなっている状態を指します。一般的に、血糖値が70mg/dL以下になると低血糖とされます。糖尿病の治療中、とくにインスリンや一部の経口血糖降下薬を使用している患者では、低血糖が起こるリスクが高くなります。

低血糖の原因には以下のようなものがあります:

  • インスリンや薬の過剰投与

  • 食事の抜きや遅れ

  • 運動量の急激な増加

  • アルコールの摂取(特に空腹時)

低血糖は進行が早く、症状も非常に多彩です。主な症状としては以下のようなものがあります:

  • 冷や汗

  • 動悸

  • 手足の震え

  • 空腹感

  • 不安感やイライラ

  • 意識障害(重度になると昏睡やけいれん)

低血糖は発症から意識消失までのスピードが速く、適切な対処ができない場合は命に関わることがあります。特に「無自覚性低血糖」と呼ばれる、自分では症状に気づけないタイプの低血糖は非常に危険です。これは、繰り返し低血糖を起こしていると、身体が警告サインを出さなくなり、いきなり意識を失うこともあるため、家族や周囲の人の協力も重要になります。

高血糖と低血糖の根本的な違い

高血糖と低血糖の一番の違いは、「血糖値が高すぎる」か「低すぎる」かという点にありますが、症状の現れ方、リスク、緊急性などにも大きな違いがあります。

高血糖は比較的緩やかに進行し、長期間放置することで合併症のリスクが高まるのに対して、低血糖は短時間で急激に悪化し、生命に直結する可能性があります。そのため、低血糖は特に「今すぐの対応」が求められ、高血糖は「継続的な管理」が求められる性質のものです。

また、高血糖は患者自身が不快感をあまり感じないことも多く、気づかないうちに進行してしまうことが少なくありません。一方、低血糖は自覚症状が強く出ることが多いため、気づきやすい一方で、迅速な対応が求められるという違いがあります。

糖尿病患者が知るべき注意ポイント

高血糖と低血糖の違いを理解することは、糖尿病のセルフケアにおいて非常に重要です。以下に、日々の生活で気をつけるべきポイントを挙げます。

1. 血糖値の自己管理を徹底する

血糖測定器を用いた定期的な自己測定は、自分の血糖値の変動を把握し、適切な対応をとるために不可欠です。特にインスリン療法を行っている場合は、毎日の測定が推奨されます。食前・食後・就寝前など、複数のタイミングで測定することで、全体的な傾向をつかむことができます。

2. 異常に早く気づくために症状を把握しておく

高血糖と低血糖にはそれぞれ特徴的な症状がありますが、個人差も大きいため、自分自身がどんなときにどういう症状が出るかを記録しておくと、早期対応につながります。違和感を覚えたら、まず血糖値を測定し、数値に応じた対応を取ることが大切です。

3. 食事と運動のバランスを整える

高血糖と低血糖の両方を防ぐためには、食事と運動の管理が鍵を握ります。食事は決まった時間にバランスよくとることを心がけ、炭水化物の摂取量に注意しましょう。運動も有効ですが、血糖値が極端に低いときに運動をすると、さらに血糖値が下がる危険があるため、運動前の血糖測定は必須です。

4. 薬の管理を徹底する

インスリンや経口血糖降下薬は、正しい量とタイミングで使うことが重要です。薬の種類によっては、食前に飲む必要があるもの、あるいは一定の時間を空ける必要があるものもあるため、医師や薬剤師の指導を守ることが求められます。また、変更があった場合は血糖値の変動に注意が必要です。

5. 低血糖への備えを常に持つ

ブドウ糖タブレットや飴、ジュースなど、すぐに吸収できる糖分を常に持ち歩くことは、低血糖対策として非常に有効です。また、周囲の人にも自分が糖尿病であること、低血糖時の対応方法を伝えておくと安心です。特に運転や外出時には必ず持参するよう心がけましょう。

6. 定期的な通院と血液検査を欠かさない

自己管理だけではコントロールが難しい場合もあります。定期的に医療機関で診察を受け、HbA1cなどの数値を確認することで、合併症のリスクを早期に察知できます。自己判断に頼りすぎず、専門医との連携を大切にしましょう。


おわりに

高血糖と低血糖は、どちらも糖尿病患者にとって重大なリスク要因であり、その違いを正しく理解することは日々の健康管理に欠かせません。高血糖は「静かなる脅威」、低血糖は「突然の危機」とも言える存在であり、それぞれに異なるアプローチが求められます。

血糖値の変動は、生活習慣、ストレス、薬の影響などさまざまな要因に左右されますが、最も重要なのは「自分の体の反応を理解し、早めに対処する力」を身につけることです。毎日の小さな気づきと行動が、将来の合併症や緊急事態を防ぐ大きな一歩となるでしょう。

糖尿病は、一生付き合う可能性のある病気ですが、適切な知識と自己管理によって、健康で充実した生活を送ることは十分に可能です。高血糖と低血糖、それぞれの違いと注意点をしっかりと理解し、日々の生活に活かしていきましょう。

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