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糖尿病になると脳梗塞になりやすいって本当?

 

 糖尿病は血糖値が高いだけの病気ではなく、さまざまな合併症を引き起こすことも知られています。糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の三大糖尿病合併症をはじめ、それ以外にも多くの重大な疾患が合併症としてあります。今回はその中でも、第四の合併症といわれる脳梗塞(脳卒中)について解説していきたいと思います。

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・脳梗塞(脳卒中)とは?

 脳血管疾患は長い間、日本の死因の上位に位置し、平成二十八年度の日本の死因をみても悪性新生物(癌)、心疾患、肺炎に続き死亡数第四位と危険な疾患です。その中でも脳梗塞は脳血管疾患で最多の疾患であり、要介護の原因疾患第一位でもあります。

 脳梗塞とは簡単に言うと、脳の動脈の一部が詰まることによって脳組織への血流が低下し、脳組織が機能不全に陥る疾患です。ちなみに脳卒中とは脳血管が切れたり、詰まったりする疾患を総称したもので、脳卒中には脳梗塞以外に脳出血なども含まれます。

 脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳血栓症、ラクナ梗塞の三つに分類することができます。一つ一つ説明すると非常に膨大な量になってしまうので簡潔に概要だけ以下に示します。

① アテローム血栓性脳梗塞
 頭蓋内外の動脈の動脈硬化(アテローム硬化)が原因となります。

危険因子:
 高血圧、糖尿病、脂質異常症、大量飲酒、加齢、喫煙などが挙げられます。

症状:
 言語障害や片麻痺などがみられます。

② ラクナ梗塞
 主に高血圧による細動脈硬化を原因に発症します。

危険因子:
 高血圧が挙げられます。

症状:
 軽度の運動障害や感覚障害が多くみられますが、中には無症状の場合もあります。繰り返し発症するケースでは脳血管性認知症やパーキンソン病の原因になることもあります。意識障害を伴うことはないので、意識障害がある気はアテローム血栓性脳梗塞を疑う必要があります。

③ 心原性脳血栓症
 心疾患によって形成された血栓が脳に流れきて生じる脳梗塞です。

危険因子:
 心疾患(心房細動、心筋梗塞、洞不全症候群など)が挙げられます。

症状:
 意識障害や重度の片麻痺、言語障害、頭痛、失禁などが突発発症します。

・糖尿病合併症としての脳梗塞は?

 糖尿病が動脈硬化を促進し、大血管障害を起こすことはよく知られています。大血管障害といってもさまざまですが、脳血管障害だけに焦点を絞ると、糖尿病患者は健常者と比べておよそ二倍ほどリスクが高まっていることがわかっています。糖尿病患者における合併症として脳梗塞が生じる場合、主にアテローム血栓性脳梗塞orラクナ梗塞(脳梗塞とは?の①と②)が考えられます。

 アテロームという言葉は耳に馴染みがないかもしれませんが、血管内に形成される異常な蓄積物のことで、主にコレステロールや中性脂肪などがその成分となります。アテローム血栓性脳梗塞の発生機序としては二つあります。

 一つはアテロームが硬化することによって狭くなった血管に血栓が形成され閉塞する場合。もう一つはアテローム硬化部に血栓が生じ、さらにその一部がはがれることによって塞栓子が形成され脳動脈を閉塞する場合です。どちらにせよ、糖尿病はアテローム硬化を引き起こす危険因子となります。

 その一方で、高血圧を主な危険因子とするラクナ梗塞に対しても糖尿病は無関係ではありません。ラクナ梗塞とは、主に大脳深部や脳幹などの穿通枝領域とよばれる箇所において生じる15mm以下の小さな脳梗塞です。穿通枝領域は非常に細い動脈ですが、そこに微小アテロームの形成やリポヒアリノーシス(脂肪硝子変性)などが生じて、穿通枝が閉塞します。リポヒアリノーシスは高血圧による症状の一つで、動脈壁に脂肪や硝子質などが付着した状態のことを指します。

・予防・再発予防

 糖尿病患者では、高血糖の持続に加え、脂質異常症、肥満、高血圧を抱えていることが多くさらに飲酒や喫煙などの生活習慣よっても動脈硬化のリスクが高まることになります。

 したがって他の合併症にも言えることですが、糖尿病患者が脳梗塞を未然に防ぐためにはまずは血糖値のコントロールを徹底的に行うことが大切になります。

[参考記事]
「糖尿病と骨粗鬆症は関係あるの?」

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